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緋色の十字章
 風光明媚で名物はフォアグラ、トリュフやくるみ。村人たちも自分たちでパテやチーズを作っている、そんなのんびりとしたフランスの小さな村。そこでたった一人の警官であり、警察署長であるブルーノも穏やかな好男子。うっとりするような風景と、とても美味しそうな料理の描写にこの村で過ごしたい〜と猛烈に思います。

そんな場所で起こった、凄惨な殺人事件。アラブ人の老人ハミドが、腹部を裂かれて殺されます。被害者がアラブ人であること、胸に鉤十字を刻まれていたことで、ファシストによる犯行かと考えられます。

ブルーノは、以前の穏やかな村を取り戻すべく、捜査に取り掛かります。とはいえ、小さな村の、一人しかいない警官では、国家警察から派遣されてきた警視と刑事官のもと、捜査を手伝うような立場になるのです。
でも、やってきたジャリポー警視は、以前ブルーノと一緒に事件の捜査をした旧知の仲。一緒に来た刑事官のイザベルとはなんだかいい感じにもなります。

むごたらしい殺人に、人種差別の影がさすのですが、文章がやわらかく、ブルーノやマンジャン村長の村を守ろうとする思いがまっすぐで、重さはあまりありません。むしろ村人たちの行動がちょっと微笑ましかったり(EUの検査官への行動はむしろ痛快)、ブルーノの愛犬ジジの可愛らしさのほうが印象的で、この小さな村へ、そこに住む人たちへ愛着が湧いてきます。

しかし、犯人の姿は、あるきっかけで予測していたものとは違う方向に向かっていきます。殺人の謎を解くために、過去を紐解いた時、あまりにも酷い事実が発覚します。戦争という狂気がもたらした、昏く、根深い傷。過去の話とは割り切ることのできない事件。誰がどう裁くのか、それについては何も言えなくなります。

ブルーノ自身も、実は孤児であり、ボスニアに国連の平和維持軍として従軍するなど、過酷な過去を背負っています。だからこそ、今の穏やかな生活を選んだのかな、と思いました。

後味は悪くはありません。そういう選択になるだろうな、と思います。それが最善ではないかと。

でも残されたひとたちは、幸せになってほしいなと思いました。
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